課題解決や情報収集に興味のある方には、「シンクタンク業界に就職したい…」と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。シンクタンクは社会に貢献できる魅力的な仕事の一つです。向いている方であれば、シンクタンク企業への転職や就職は魅力的な選択といえるでしょう。
今回は、シンクタンクの仕事内容や向いてる人の特徴、求められるスキルなどについて解説します。シンクタンク業界のメリット・デメリットについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。
シンクタンクの仕事内容とは
シンクタンク(Think Tank)は「頭脳集団」と表現されることもあり、主に社会問題に関する研究と分析を行う仕事です。
具体的には政府や民間企業、非営利団体などから依頼を受け、データ収集や分析をし、結果をレポートにまとめます。さまざまな研究結果をもとに新しい政策の提案や既存政策の改善案を提言するケースもしばしば見られます。
企業によっても異なりますが、ニュースメディアなどに専門家として出演することも多く、客観的な思考や判断力が必要になるでしょう。具体的な仕事内容は会社によって違いがあるものの、データ収集と解析を行い、レポート作成をして会議で発表することが一般的です。
シンクタンクとコンサルティングファームの違い
シンクタンクと近い業種として、コンサルティングファームが挙げられます。しかし、双方の職種には大きな違いがあるのです。コンサルティングファームは企業の経営・ビジネス戦略に関するアドバイスやサポートを行います。
一方でシンクタンクは社会全体の利益を重視しており、コンサルティング以外の業務も担当します。コンサルティング業務を行うシンクタンクもありますがコンサルティングファームと比較すると、より広範囲の課題に取り組むことがシンクタンクの特徴といえるでしょう。
シンクタンクに向いてる人の特徴4選!
ここからは、シンクタンクに向いている人の特徴を紹介します。具体的には下記の通りです。
- 論理的な思考が得意
- 向上意欲が高い
- 社会問題に興味がある
- 特定の分野の専門知識がある
順番に見ていきましょう。
論理的な思考が得意
シンクタンクの仕事では膨大なデータや情報を扱います。それらの情報をもとに明確な結論や提案を導き出すには、論理的な思考が必要になるでしょう。論理的思考とは簡単にいうと「事実に基づいた根拠のある考え方」であり、依頼主にわかりやすく提案する際に大切な考え方になります。
例えば社会問題を分析する際に、「なぜこのような問題が発生したのか」を考えることで、根拠となる要因が見つかるでしょう。シンクタンク業界への就職・転職を検討している方は、日常的に論理的思考のトレーニングをすることが大切です。
向上心・成長意欲が強い
シンクタンクの業界では、常に新しい知識やスキルを身につけることが必要になります。なぜなら社会的な問題や民間企業の課題は、テクノロジーの進歩や社会情勢の変化に影響されるからです。具体的にはAIの進化が社会に与える影響を調べたり、新しい統計方法を学習してより最適解を導き出したりすることが挙げられます。
技術の進歩だけではなく、経済的要因から発生する課題なども観察する必要があるでしょう。そのため幅広い情報をインプットすることが得意な方は、シンクタンクの業界に向いていると考えられます。
社会問題に興味がある
社会問題に興味がある方も、シンクタンクに向いていると考えられます。というのもシンクタンクの仕事の多くは社会問題に直結する課題を解決することが一般的です。そのため政策や金融だけではなく、教育や貧困、環境保護などにも注目する必要があるでしょう。
あらゆる問題に関心をもつことで社会のあり方が理解でき、自身が貢献できる分野が見つかるかもしれません。社会の問題を解決したいと思う精神のある方は、ぜひシンクタンクの業界に挑戦してみてください。
特定の分野の専門知識がある
シンクタンクでは特定の分野における専門知識があると重宝される傾向にあります。具体的には経済学や政治学、社会学などが該当するでしょう。近年では消費行動の分析に役立つ「行動経済学」に精通している方も優遇される傾向があります。
またITやデータ分析などの技術的な分野に長けている方も、シンクタンク業界で活躍できるチャンスがあるでしょう。シンクタンクは幅広い分野を取り扱いますが、一つの分野に特化している方も魅力的なキャリアを築けると考えられます。
シンクタンクに向いていない人の特徴
シンクタンクに向いている人の特徴は理解できた一方で、「シンクタンクに向いてない人もいるのかな…」と気になる方もいるかもしれません。必ず該当するとは限りませんが、下記の特徴のある方はシンクタンク以外の業界で能力を発揮できる可能性があります。
- チームでの作業が苦手
- 責任のある仕事に抵抗感がある
上記の2つに当てはまるからといって、シンクタンクに向いていないとは限りません。そのため一つの例として参考にしてください。
チームでの作業が苦手
業務内容によっても異なりますが、シンクタンクの仕事は複数人のチームで作業を進めることが一般的です。コンサルティングの業務を担当する際も同様に、クライアントとチームになって仕事に当たる必要があるでしょう。そのためシンクタンクは多くの方とコミュニケーションをとることが大切です。
もし極力一人での仕事を好む場合は、シンクタンクではなく個人で仕事を進められる調査会社などの方が向いている可能性があります。しかし多くの企業は複数人で仕事をすることが多いため、この機会にコミュニケーションの勉強をすることも有効な手段とも考えられます。
責任のある仕事に抵抗感がある
シンクタンクの仕事は、政策提案や社会的な影響を伴う重要な研究に関わることが一般的です。一定のキャリアを築いた方であれば、専門家としてメディアに出演することもあるでしょう。したがってシンクタンク業界に従事することは責任感をもって仕事に取り組むことが大切です。
しかし大きな責任を担うことに慣れていない場合、仕事に対してストレスを感じるかもしれません。とはいえシンクタンクは社会に大きく貢献できる仕事の一つなので、やりがいはあるでしょう。就職したい企業の業務内容を見てから判断してください。
シンクタンクに求められるスキル
ここからは、シンクタンクに求められるスキルを紹介します。企業によっても異なりますが、一般的には下記の通りです。
- 情報収集・リサーチ能力
- プレゼンテーションスキル
- データ分析
順番に見ていきましょう。
情報収集・リサーチ能力
シンクタンクでの仕事の基本は、正確な情報を効率よく集めることです。社会問題や政策、経済データなど情報を収集して施策を提案するため、Webやテレビニュースだけではなく足を使うことも大切になります。
情報の質は研究の成果に大きく影響する要素の一つです。ただし正確な情報を入手するには相応の時間が必要になるでしょう。したがって効率的に情報収集・リサーチするスキルを身につけることが大切と考えられます。
プレゼンテーションスキル
研究結果や政策提案を効果的に伝えるには、一定のプレゼンテーションスキルが必要になるでしょう。情報を整理して聞き手が理解しやすい形で伝えることで、発案者の提案が聞き入れられる可能性が高くなります。
情報収集や研究をして質の高い結果を出したとしても、伝え方を間違えると成果につながらないかもしれません。多くの場合はプレゼンテーションチームが存在しますが、一定の発表スキルは学習して損はないでしょう。
データ分析
集めたデータから適切な答えを導き出すには、データを正確に分析する能力が必要不可欠です。したがって統計学の基本的な知識やデータ分析ツールの使い方は、しっかりと理解しておきましょう。
またシンクタンクは数値化できない感情的な情報にも配慮する必要があります。そのため一般消費者に取材やインタビューなども行い、人の感情から生まれる行動心理にも注意を払いましょう。
シンクタンク業界のキャリアパスとは
シンクタンク業界への転職を検討している方には、「将来どんなキャリアが実現できるだろう」と悩む方もいるかもしれません。人によっても異なりますが、シンクタンク業界で従事した後のキャリアは大きく分けると下記に分類されるようです。
- 社内での昇進
- 独立・企業
- 研究者として政府機関に転職
- スタートアップ・ベンチャー企業への転職
- 他のシンクタンク・コンサルティングファームへの転職
上記以外にも経済評論家としてメディアに出演したり、論文を公開して社会に貢献したりする方など、さまざまなキャリアが存在します。
シンクタンク企業に就職・転職するメリット
ここからは、シンクタンク企業に就職・転職するメリットを見ていきましょう。具体的には下記の通りです。
- 高年収が期待できる
- 福利厚生が充実している
- 社会的な利益に貢献できる
企業によっても異なりますが、一般的には上記の3つです。順番に解説します。
高年収が期待できる
転職サポートのdodaによると、コンサルティング/シンクタンクの平均年収は527万円*1となっています。国税庁の調査結果では、日本人の平均給与は458万円*2と記載されているため、シンクタンク業界の年収は比較的高いといえるでしょう。
研究員として従事している方には、より多くの年収を得ている方も見られます。企業によっても差はありますが、シンクタンク業界への転職はキャリアアップにつながる可能性があるでしょう。
福利厚生が充実している
シンクタンクは大手企業の子会社が運営するケースが多く、福利厚生が比較的充実していると考えられます。企業によっても異なりますが、住宅手当や育児手当などは申し分ない会社がしばしば見られます。リモートワークを採用する企業も増えているため、柔軟な働き方が期待できるでしょう。また安定的に経営をしている会社が多いため、安心して仕事ができることも魅力の一つです。
社会的な利益に貢献できる
働く環境だけではなく、意義のある仕事に取り組めることもシンクタンクに就職・転職するメリットの一つです。一般的な仕事でも社会に貢献することは可能です。
しかしシンクタンクは社会学や経済学の観点から政策に対して直接的なアプローチができるため、より多くの人のためになる業務に携われるでしょう。そのため、やりがいをもって仕事に取り組めることが期待できます。
シンクタンクで仕事をするデメリット
高年収や社会貢献などのメリットがある一方で、シンクタンクには下記のデメリットも存在します。
- 年功序列の風習がある
- 採用人数が少ない
- ハードワークになる可能性がある
シンクタンクへの就職・転職を考えている方は、上記の項目を意識しておきましょう。
年功序列の風習がある
シンクタンクの業界は年功序列でキャリアを形成する傾向があります。理由はさまざまですが、個人のスキルを発揮して会社に貢献する事業ではないことが要因の一つと考えられるでしょう。そのため「仕事で成果を上げてスピード出世がしたい!」と考える方にはやや不向きかもしれません。
しかし長く勤めることで自身のキャリアが成長するのは魅力とも考えられます。したがってシンクタンク企業に就職する際は、社会に貢献する気持ちで継続的に働く気構えが大切です。
採用人数が少ない
一般的な企業に比べると、シンクタンクは一回の採用で大人数の枠を確保していない傾向があります。新卒の採用枠も多くないため、就職や転職のハードルが高い業界といえるでしょう。
しかしキャリア採用(中途採用)を行っているシンクタンク企業はしばしば見られます。そのためシンクタンク業界に就職するなら即戦力になるスキルを身につけてからでも間に合うでしょう。転職活動が不安な方には、転職活動をサポートしてくれる「転職エージェント」などの利用をおすすめします。
ハードワークになる可能性がある
企業によっても異なりますが、シンクタンクは比較的残業が多い業界と考えられます。企業調査を行うOpenWorkが運営する「働き街研究所」の調査内容によると、シンクタンク業界の平均残業時間は40.7*3時間となっています。
残業手当などは付くので収入アップは期待できますが、人によっては仕事にストレスを感じるかもしれません。そのためシンクタンク業界への転職を検討している方は具体的な仕事内容を確認して、体力面で問題がないかを考えておきましょう。
シンクタンクに関するよくある質問
最後に、シンクタンクに関するよくある質問を紹介します。
シンクタンクに学歴は重要?
結論からお伝えすると、シンクタンクは学歴も重要視される傾向にある業界と考えられます。理由の1つとしては、業務の難易度が比較的高く、専門性の高い情報の解釈や、調査・データ分析から企業・政府へのアドバイスまで行うため、地頭良さが求められるためです。
一方でシンクタンク大手といわれる企業の採用では、大学院・学部、理系・文系出身に関して選考基準に違いはないと明言しているケースもあります*4。そのため、基本的には大学卒業以上の学歴が必要になるかもしれませんが、例外としてスキルや実績のある方であれば学歴不問で就職・転職できる可能性はあります。
政府系と民間系の違いは?
政府系シンクタンクと民間系シンクタンクの違いはさまざまですが、大きく異なるのはビジネスモデルでしょう。政府系シンクタンクは国や自治体が運営しています。公的資金を財源にしており政策に対する提言や研究を行うことが特徴です。具体的には「経済社会総合研究所」や「財務総合制作研究所」などが挙げられます。
一方で民間系シンクタンク企業や独立団体が運営しており、民間企業からの依頼によって収益を挙げています。有名な企業では、「野村総合研究所」や「三菱総合研究所」などが該当するでしょう。政府系・民間系シンクタンクを一覧で紹介しているメディアも多いので、気になる方はそちらも調べてみてください。
向いてるかを判断してシンクタンク企業に転職してみよう
論理的な思考や社会問題に興味のある方は、シンクタンク業界に向いている可能性があります。データ分析やプレゼンテーションなどのスキルを身につけて、就職・転職の準備を始めてみましょう。
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<出典・参考>
*1:doda「年収の高い業種は?平均年収ランキング」サービスの平均年収より
*2:国税庁「民間給与実態統計調査」p14より
*3:働きがい研究所 by OpenWork「OpenWork 残業と有給 10年の変化」より
*4:三菱総合研究所 採用情報「よくあるご質問」より