サンリオピューロランドV字回復の立役者 小巻亜矢さんがミレニアル女性に贈る人生のヒント

来場者数の低迷していたサンリオピューロランドの見事なV字回復の仕掛人、館長の小巻亜矢さん

小巻さんは大学を卒業後㈱サンリオに入社し、一年半後に結婚して3人の子供を育てる専業主婦になります。

しかし、二男が2歳の時に事故にあって亡くなり、小巻さんが37歳の時には離婚、シングルマザーとして子供を育てる最中に、乳がんを罹患。その後子宮の病気も患い、左の乳房と子宮を全摘出するという治療を経験されます。

死の恐怖に直面するも病気を克服した小巻さんは、化粧品のセールスの仕事を経て㈱サンリオのグループ会社で化粧品の開発に携わります。さらに猛勉強の末、54歳で興味のあった心理学を勉強するために東京大学大学院に入学します。

2014年、来場者数の低迷していたサンリオピューロランドを立て直すべく顧問に就任。2016年には実績が評価され、館長に抜擢されました。ショーやグッズの監修や財務の見直し、人材育成では学んだ心理学を活かし、見事にV字回復を成し遂げました。

子どもの死、ガンの罹患、専業主婦から経営者に、と壮絶な人生を送ってきた小巻さんですが、そんな苦労は全くにじませません。

しかし「光の見えない日々もありました」と語る小巻さん。

暗闇の中から現在にたどり着いた小巻さんだからこそ知る、人生の扉を開くヒントを伺いました。

1.笑顔の裏の苦しい日々、「この光の見えないトンネルはいつまで続くのか」

大原

いくつもの辛いご経験をされたにも関わらず、それを感じさせないポジティブな小巻さんのお姿は、ミレニアル世代の女性にとって目指すべきロールモデルだと感じています。

ありがとうございます。でも、最初からそうだった訳でも、いきなりジャーンって生まれ変わった訳でもありませんよ。

20代の頃は、好きなお仕事ができて、結婚して子どもも生まれて、と進んでいたから、あまり自分の人生について真剣に考えていなかったんですよね。そこに離婚や病気といった出来事があり、光の見えないトンネルの中に迷い込んだようで、長いことグジグジしていました。

人と話をしていても、「私この場で何を期待されていて、どう答えたらいいんだろう」とおどおどしてしまう。「なんて言ったらいいの」って相手に聞きたいくらい、自分の言葉を持っていなかったんです。

心理学やコーチングを学ぶ中で、しっかり掴んでいたいもの手放すものとが見えて、少しずつ薄皮をはぐように前向きに変わっていったんです。

大原

小巻さんのように第一線で活躍されている方でも、そのように変化していったとは読者の方も勇気をもらえると思います。


30代に差し掛かった頃が一番悩みますよね、「私これでいいの?」って。

20代の頃はなんだかんだ失敗も許されたり、勢いでやってこられた。でも30代に差し掛かってくると、ごまかしがきかなくなってきて、もう自分はそういう立ち位置では無いことに気がつく。

自分の立ち位置が確立しにくいのは、思春期よりもむしろ30代なんじゃないかと思います。

今の私から見れば、結婚とか転職はいくつになってもできるし、恐れることはないって思えますけど、
「この光が見えないトンネルはいつまで続くんだろう」と辛い気持ちにいる方は多いですよね。

大原

まさに、多くのミレニアル世代の女性が「私このままでいいのかな?」<と悩みを抱えています。

私も30代は色々あって…離婚もして再就職もして、自分が何もできないと思い知らされ、精神的にボコボコでした。「こんなはずじゃなかった」と、人生に光を見失った時期でした。

2.暗闇から救ってくれたのは”学び”。全ての経験が現在の自分をつくっている。

大原

光の見えない時期からポジティブに人生を開いていったきっかけは何だったんでしょうか。

私は”学び”に救われました。

光を失う時期は誰にでもあって、仕方のないことですよね。
辛いけれど、「今はそういう時期なんだ」「トンネルにいることにもちゃんと意味があるんだ」って思うしかない。

光が見えない時に、外を変えようとしても上手くいかないんですよね。結婚や出産は相手がいることだし、仕事の評価は周りが決めることだけれど、相手を変えるのはすごく難しい。だからそんな時は、自分を磨く時期なんだって捉える。

私は化粧品セールスの仕事をしていた頃、その道のスペシャリストになれば周りに認めてもらえるんじゃないかと、化粧品の成分や香り、肌のこと、エステティシャンの技術など、たくさん勉強しました。
大変でしたけど、学ぶことは楽しかったですね。

化粧品の仕事の中で多くの女性の悩みを聞くうちに、次は女性の心を元気にすることに興味が湧いて、心理学やカウンセリングを学ぶため大学院に入りました。

そんな当時、㈱サンリオが化粧品の知識を持っている人を探していて、私に声をかけてくれたんです。その後任せられたサンリオピューロランドの館長という現在の仕事は、心理学を学んだことや今までの人生経験、私の全て注いだ「全部のせ」だと思っています。

最初思い描いたものとは違っても、”学び”で自分を磨くことが、人生の扉を開いていってくれました。

だから、今の状況に不満があったとしても不貞腐れないでいてほしい。
いつかこれを活かそうって学びのエネルギーに変換していってほしいんです。

習い事をしてもいいし、資格をとってもいい。好きな分野の本をとことん読んでも、人に会って話を聞くでも、自分に無理のない方法で構わない。学ぶのことは「ちょっと興味のあること」でいいんです。
興味を持ったということ自体が貴重な出会いですから。

三日坊主でも、食い散らかしてもいいから、まずやってみることが大事だと思います。

3.大切な健康。自分のメンテナンスとして振り返ってほしい

大原

ミレニアル女性には、仕事や他の人のために頑張りすぎて、自分の健康意識をなかなか高められない人も多くいます。ガンを罹患した経験から、小巻さんからミレニアル女性へ伝えたいことはありますか?

私がそうじゃなかったからこそ、皆さんには若いうちから自分の健康は意識してほしいですね。検診には絶対に行ってくださいね。

大原

ガンが見つかったきっかけは検診だったのですか?

たまたま行った乳がん検診で見つかりました。その時検診に行っていなかったら、と思うと、怖いです。

検診は自分のメンテナンスと捉えて、ルールを作って習慣にするのがおすすめです。例えば毎年お誕生日月に検診に行くとか、検診の後に病院の近くのお店でちょっと豪華なランチを食べる!とか、モチベーションを作ってもいいですね。

ガンの原因は色々ありますが、免疫を高めておくことはとても大切です。

笑うと免疫力がアップするというのは科学的にも証明されているので、ストレスを溜めずによく笑って、そして食事の栄養バランスに気を配ってみる。

ちょっとずつでいいので、自分の健康も大事にしてください。

4. 折角の人生、自分のやりたいことをやらない理由はない

大原

最後に、小巻さんが今後の人生でやりたいことはありますか?

留学ですね。

大学生の頃から留学したかったんですけど、私たちが大学生の時って女子が一人で留学することはすごくハードル高くて、行けなかったんです。
最近は本当にいくつになっても学べるから、65歳、70歳で留学したって全然いいんじゃないって。

いつか実現したい。すごくワクワクします!

大原

とっても素敵ですね。最後に、やりたいことに踏み出せずにいる読者へ、メッセージをお願いできますか?

自分のやりたいことをやらない理由はないです。

だって折角の人生、やらないともったいないじゃない?
私もまだまだやりたいことだらけです。

大丈夫、歳をとるって楽しいですよ。

編集後記

「苦しい長いトンネルがあったけれど、”学び”が人生の扉を開いてくれた。」

そう柔らかく、かつ力強く語ってくれる小巻さん。
今、トンネルの中にいて苦しいと感じているミレニアル女性に、希望の光を見せてくれているようです。

人生には様々な葛藤があるけれど、不貞腐れることなく自分を磨いていれば、扉は開くはず。
そう信じて一歩踏み出すための勇気をいただきました。

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